感謝の声

インタビュー

「ASA車いすをおくる会」では、皆様のご協力のもと、毎回多くの書籍が善意の証として集まります。
そこで本をお寄せ頂く方々に、贈った車いすが誰の・どんな役に立っているのかをお伝えしようと、
実際に車いすをお贈りしたぐグループホームの方にお話を伺いました。

グループホーム「花束取手」・インタビュー

今回は車椅子を一台お送りした取手のグループホーム「花束取手」の
Aさん、Bさん、Cさんにお話をお伺いいたしました。


グループホーム「花束取手」のAさん、Bさん、Cさん

ASA車いすをおくる会事務局(インタビュアー)


「よくご存知ない方も多いと思いますので、まずはグループホームという施設に関して教えてください。」

「この施設はグループホームと呼ばれる施設で、要介護認定という一人では生活するのが難しい基準にある方が、ヘルパーのサポートを受けながら、共同生活を送る施設です。現在は法律で決められた2ユニット18人の定員のなか、17人が共同生活を行っています。この入居者の方をサポートするスタッフは20人以上。交代で生活のお手伝いを行っています。」

「入居している方はみなさんお体が不自由なのですか?」

「いいえ。元気な方もいらっしゃいます。痴呆の症状をお持ちの高齢者の方というだけで、肉体的には健康な方も多いのです。ですので、逆にいうと体が元気なうちは車椅子は必ずしも必要な道具ではないのです。だから私たちも車椅子に入居者の方が依存しないように、自分で歩けるうちはなるべく使わないようにしていますし、あらかじめ人数分車いすを用意しておくという事はしておりません。
しかし、ご存知のように、年々体は衰えていくものですし、高齢者ほどちょっと転んだだけでも骨折してしまう事が実際問題多くなってくるのです。
今の法律上は、保険の適用範囲外になっているので、在宅介護でないグループホームでは、車椅子のレンタルを受けることができません。また割引もないのです。
ご家族には多くの負担がすでにかかっていますので、できるだけ施設の備品として車椅子を用意するような形になります。」

「だからこそ、車椅子が「あとで」必要になってくる、ということですね。」

「そのとおりです。特にお体が不自由な方がいらっしゃらない場合、車椅子は入居者だれか専用、になるわけではなく、いろいろな局面で利用者をサポートするために使います。
よく使うのが外出するとき。お散歩やお買い物のときですね。自分の体力に自信がない方は特にそうなんですが、入居者の方で、お散歩に行くときに「どれくらい遠くのいくの?」とちょっと心配そうな方もいらっしゃいます。そんな時、「いつもの公園にいきましょう。車いすももって行きましょう」というと、とても安心されます。買い物に行くときも車椅子があると疲れたときにはベンチになりますし、買ったものを運ぶのも楽ですね。」

「椅子にも車にもなるわけですものね。室内では使わないのですか?」

「もともと施設内は設計段階から車いすでも負担なく利用できるようにバリアフリーですし、トイレやお風呂も車いすを想定して作られています。もちろん室内でも使うのですが、車いすにすわったっきりになってしまうと、車椅子に頼るようになってしまうので、 なるべく車いすがなくても大丈夫なように私たちがお手伝いしているのです。
そうは言っても、たとえば、怪我をされたときや、怪我をきっかけに体がおもうように動かなくなる方には、車いすを使って積極的に暮らしを楽しんで頂けるようにしています。
ご存知のように高齢者の骨折はなかなか直りません。その間寝たきりになってしまいます。人が体をまっすぐに起こしているのは、実は立派な運動なのですが、これも寝たきりになるとできなくなります。体だけではありません。寝たきりになると、今まで向き合って話をしていた人間関係が、見下ろされる関係になってしまいます。気持ちまで衰えていってしまう。自分から人の輪にはいっていって積極的に交流することで痴呆の進行を抑え、生きる喜びを感じてもらうのがグループホームのよさなのに、それが失われてしまうのです。
でも車椅子があれば、寝たきりにならずに、人の輪の中に自分から戻っていけます。
車椅子があれば積極的に生活や仲間に参加ができるんです。これは大きな違いです。」

「車椅子はただ単に体を補助するためではなく、気持ちも手助けできるんですね。」

「そのとおりです。だから私たちは車椅子を送ってくださった皆様に心から「車椅子をありがとう!」といいたいのです。そしてできれば今後もこうした活動を通じて一箇所でも多くの施設に車椅子を届けてほしい。車椅子が助けてくれる笑顔が増える。それこそ私たちが大事にしていきたいことなんですから。」

「今のお言葉はこの活動に参加した多くの方々に必ずお届けいたします。
最後になりますが、今回贈りした車椅子の使い勝手はいかがですか?」

「いただいた車椅子は2つの点でとても使い勝手がよいです。
ひとつはとても軽いこと。車椅子は実際に使ってみるととても重いものです。ヘルパーも20代の人間ばかりではなりません。軽いことはヘルパーがたくさんの入居者の方をお世話する際にはとても助かるのです。
もうひとつはもち手のところに自転車のようなブレーキがついていることです。
多くの車椅子は座っている人が使うためにブレーキが車輪の横についています。ですが、私たちの施設ではヘルパーが押す事が多いので、手元でブレーキがかけられることはとても助かります。」

「喜んでくださって大変光栄です。本をお送りくださった方もきっと安心してくださったと思います。奥村さんに選んでいただいた甲斐がありました。本日はお時間をいただき誠にありがとうございました。」

後記

現場の方のお話を聞いて、改めて車いすの重要性や必要性を強く感じました。また車いすを使う人というのは、座る人だけでなく、車椅子を押す人も含まれるものなんですね。伺って初めて気付く事も多く、感謝の声も合わせて、色んなお話が聞けてよかったです。
これからも「ASA車いすをおくる会」を通じて、皆様の善意を、現場で頑張っていらっしゃる方に少しでも多くお届けしたいと思います。今後とも何卒よろしくお願い致します!!(事務局)

ページの先頭へ